2026年5月20日より清算人が債権届出の受付を開始します。届出を躊躇している方の中には「自分の個人情報がどのように扱われるのか不安」という方も多いと思います。そこで、個人情報保護法上、清算人がどのような立場に置かれているか、また届出者がどのような権利を持っているかをまとめます。(文責:野浪)
清算人は「個人情報取扱事業者」にあたる
清算人は、債権届出の受付にあたり、届出人の氏名・住所・連絡先・被害内容・金額などを組織的に収集・管理します。そのため、個人情報保護法の定める「個人情報取扱事業者」にあたり、個人情報を法律の定めに従って取り扱う義務を負っています。
届出人の権利
- 開示請求権(第33条):自身に関する個人情報がどのように記録されているかを確認する権利があります。
- 訂正・削除請求権(第34条):届出内容に誤りがあれば、訂正・削除を請求できます。
- 利用停止・消去請求権(第35条):目的外利用や不正取得が判明した場合、または自分の権利利益が害されるおそれがある場合には、保有情報の利用停止・消去を請求できます。
- 苦情申出権(第40条):個人情報の取り扱いに関する苦情は、清算人に直接申し出ることができます。
個人情報保護法による制限
以下の行為は個人情報保護法に違反します。
- 目的外の利用(第18条違反):届出情報は債権の確認・弁済業務のためにのみ使用できます。それ以外の目的に使うことは禁止されています。
- 不適正な利用(第19条違反):違法または不当な行為を助長・誘発するおそれのある方法で個人情報を利用することは禁止されています。
- 漏洩時の通知義務の懈怠(第26条違反):情報漏洩が発生した場合、清算人には個人情報保護委員会への報告と本人への通知が義務づけられています。
- 同意なき第三者提供(第27条違反):個人情報を同意なく第三者に提供することは原則的に禁止されています。
問題が生じた場合の相談先
清算人の対応に問題があると感じた場合、個人情報保護委員会に対して申告を行い、立入検査や指導、命令を請求することができます。
清算人に求めることのできる対応
以下は法的義務ではなく、被害者として清算人に要望できる実務的な措置です。義務ではないため強制はできませんが、申し入れることで対話の糸口になります。
- 利用目的・管理体制・開示請求の手続きを明示した書面の交付
- 届出情報を債権処理のみに限定して使用する旨の誓約
- 清算終了後の書類の廃棄・消去の確約
身元の露出を避けたい方へ
匿名・仮名での届出は法的に困難です。債権届出は法的な権利主張の行為です。弁済を受けるためには本人の特定が必要となるため、完全な匿名や仮名での届出は、清算手続きの法的性質上、現実的ではありません。
弁護士を代理人として立てることで、清算人との直接のやりとりを弁護士に委ねることができます。ただし、代理人を立てても清算人への本人情報の開示そのものは避けられない点に注意が必要です。